当館をお探しいただき、ありがとうございます。
小竹屋旅館が当地で営業を始めて約70年になります。
開業から一貫して「海水浴のお客様のための宿」として営業してきました。
目の前は鯨波海岸、簡素な設備と手頃な料金、全ては「海水浴のお客様」の利便性を考慮して。
時は流れ…
誰もが、夏に涼と思い出を求めて海へでかける時代は、過去のものになろうとしています。
海水浴の客数は平成の時代をピークに、その後は減少し続け新型コロナウイルスの猛威により、激減しました。
また、近年の真夏の高温は凄まじく、素足で砂浜を歩けば足裏を火傷をするほどです。
海は変わらず透明度が高く美しいのですが、海水浴場の環境は大きく変わってしまいました。
もちろん、今でもこの海の楽しさを求めて県外から来てくださるお客様はたくさんいらっしゃいます。
その数は2000年頃の1/10程度になってしまいましたが。
小竹屋旅館は、経営を継続するため、この変化に対応し続けています。
近年の大きな出来事は、女将の死と、新型コロナウイルスの感染拡大、です。
料理自慢の女将の手料理は、庶民的なメニューではありましたが、長く旅館を支えてきました。
平成29年、突然亡くなり、宿は方針転換を余儀なくされました。
そこへ、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけ、海へやってくる人はいなくなり、売上のほとんどを失いましした。
経営継続は困難を極め、あらゆる事をゼロから考え直す必要に迫られたのです。
そして、私は宿のスタイルを変えることを決めました。
●海水浴以外のお客様を増やす
→体験価値の高いアクティビティの実施
→アウトドアサウナの建設
→キャンピングカーの車中泊場の開設
●感染症対策
→極力お客様と接触しない接客、運営
→食事処の廃止、素泊の宿へ
→風通しの良い屋外での飲食提供
●人手不足対策
→一人でも運営できるミニマムなサービス
→一部セルフサービスの導入
→持続可能な料金設定
現在はゲストハウスに近いサービスとなっています。
格式高い温泉旅館や、女将によるホスピタリティ溢れる宿を想像すると、その落差に面食らうと思います。
ほとんど接客らしい接客はしませんし、設備もサービスも「極めて簡素」です。
現在は、原則食事の提供も行っていません(夏季のみ屋外でBBQの夕食提供)
小竹屋旅館が提供しているのは、この海辺での体験やゆっくりした時間であり、旅館という空間で過ごす時間やホスピタリティを「ウリ」にはしていません。
今は海辺の体験の充実に集中しており、宿泊施設のハードやソフトに投資する余裕は、残念ながらありません。
先行きが不透明な状況下で、過剰な人的投資・設備投資は、経営継続を困難にします。
どんな事態にも柔軟に対応し、しぶとく生き残る「小さなネズミ」のような経営を目指しています。
そんな中で、サウナや車中泊場という設備投資ができたのは、様々な幸運が偶然重なった結果でした。
柏崎市内、鯨波町内、この20年でどれだけ多くの宿泊事業者が廃業したことでしょう。
たとえ簡素でも、この場所で宿泊サービスを提供し続けることが今の使命だと考えています。
家族以外の従業員はおらず、ほぼ一人での運営ですので、お客様にご不便をおかけすることも多々あります。
この旅館が置かれた状況、背景、少しでもご理解をいただけたらと思います。
そうそう、
保育園に通う2人の子どもの面倒もみています。
特に朝夕の保育園への送迎時間帯は、子ども優先にならざるを得ません。
チェックインの時間を調整いただいたり、チェックアウトの際にご挨拶ができないことが頻発しています。
何卒、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
こんな宿です。
のんびり滞在しながら、海を散歩したり、本を読んだり、のんびり釣りをしたり、時々サウナを楽しんだり。
気楽にお過ごしいただけたら、嬉しいです。
2024年 館主