当館をお探しいただき、ありがとうございます。
小竹屋旅館が旅館を始めて約70年になります。
現在の経営になってからは約60年です。
開業から一貫して「海水浴のお客様のための宿」として営業してきました。
宿の前は鯨波海岸、簡素な設備と、手頃な料金、全ては「海水浴のお客様」の利便性を考慮しています。
時は流れ…
誰もが夏に涼と思い出を求めて海へやって来る時代は、過去のものになろうとしています。
海水浴の客数は平成時代をピークに減少し続け、新型コロナウイルスの猛威により、激減しました。
また、近年の真夏の高温は凄まじく、素足で砂浜を歩けば足裏を火傷をするほどです。
海は変わらず透明度が高く美しいのですが、環境はこの60年で大きく変わってしまいました。
それでも、この海の楽しさを求めて、県外からお客様が来てくれています。
その数こそ、最盛期の1/10程度になってしまいましたが。
小竹屋旅館も、経営を継続するため、この変化に対応しています。
大きな出来事は、女将の死と、新型コロナウイルスの感染拡大、です。
料理自慢の女将の手料理は、庶民的なメニューではありましたが、長く旅館を支えてきました。
平成29年、突然亡くなり、宿は方針転換をせざるを得なくなります。
その後、新型コロナウイルスの猛威により売上のほとんどを失い経営継続は困難を極めました。
あらゆる事をゼロから考え直す必要に迫られたのです。
私が決めた新しい宿のスタイルです。
●海水浴以外のお客様を増やす
→体験価値の高いアクティビティの開発
→アウトドアサウナの建設
●新型コロナ対策
→極力お客様と接触しない接客、運営
→食事処の廃止と、素泊の宿へ
→屋外での食事
●人手不足対策
→一人でも運営できるミニマムなサービス
→一部セルフサービスの導入
→持続可能な価格設定
営業許可は「旅館業」を取得しているので、旅館を名乗っていますが、現在はゲストハウスに近いサービスです。
風情ある温泉旅館や、女将によるホスピタリティ溢れる宿を想像すると、その落差に面食らうと思います。
ほとんど接客らしい接客はしませんし、設備もサービスも「極めて簡素」です。
原則、食事の提供も行いません(夏季のみ屋外でBBQの夕食提供)。
小竹屋旅館が提供しているのは、この海辺での体験やゆっくりした時間であり、宿泊そのものを「ウリ」にはしていません。
今はその体験の充実に集中しており、宿泊のハードやソフトに投資する余裕がありません。
先行きが不透明な状況下で、過剰な人件費や設備投資は、経営継続を困難にします。
どんな事態にも柔軟に対応し、しぶとく生き残る「小さなネズミ」のような経営を目指しています。
そんな中で、サウナに比較的大きな投資ができたのは、様々な幸運が偶然重なった結果でした。
柏崎市内、鯨波町内、この20年でどれだけ多くの宿泊事業者が廃業したことでしょうか。
小竹屋旅館は、この場所で滞在したい、滞在する必要がある、という方に簡素でも宿泊場所を提供し続けることが今の使命だと考えています。
従業員もおらず、ほぼ一人での運営ですので、お客様にご不便をおかけすることも多々あります。
この旅館が置かれた状況、背景、少しでもご理解をいただけたらと思います。
そうそう、保育園に通う2人の子どもの面倒もみています。
特に朝夕の保育園への送迎時間帯は、子ども最優先です。
チェックインの時間を調整いただいたり、チェックアウトの際にご挨拶ができないことが頻発しています。
何卒、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
こんな宿です。
のんびり滞在しながら、海を散歩したり、本を読んだり、のんびり釣りをしたり、時々サウナを楽しんだり。
気楽にお過ごしいただけたら、嬉しいです。
2022年 館主